書体の種類

京都市を拠点とする灑筆会は書道教室だけでなく書道アートにも携わっており、個展やグループ展、塾展の主催、海外展への出展などの交流も行っています。

書道教室では、学校の授業では習う機会が少ない様々な書体を書いていきます。こちらでは書体の種類を紹介していますので、書道教室に興味をお持ちの方は参考にしてください。

 

 

篆書(てんしょ)

 

今から約3000年前の殷王朝時代の中国では、伝えたい情報を亀の甲羅や牛の骨などに絵で書き表しており、この時代の「甲骨文字」が文字の始まりとされています。絵文字とも呼べる甲骨文字は、その後、周王時代に広まり、時代と共に簡素化されていくのですが、篆書は甲骨文字に近い形をしています。日本最古の文字とされている篆書は、縦の長い線が印象的な書体で、現在は、公文書に使用される印鑑やパスポートの表紙にも使われています。

 

隷書(れいしょ)

 

 

字画が複雑で、日常で使うには不向きとされていた篆書が実用的になったものが隷書です。隷書は、篆書の誕生から約500年後に登場しており、波打つような左右のはらいと、横の線が目立つのが印象的な書体です。美しいとされていた篆書に比べると、字画のバランスがとれていなかったり、多少のゆがみもあったりします。隷書は現在、紙幣や大手新聞社の題字などで使用されています。

 

 

 

草書(そうしょ)

 

隷書を簡略化したものが草書です。晋時代から南北時代にかけて様々な工夫が凝らされた草書は、独特な書体となっており、現在は書道以外で使用されることはほとんどありません。草書は書き手によっても変わるので、いくつもの書き方があります。

 

行書(ぎょうしょ)

 

草書同様に、隷書を簡略化した書体です。ただ、草書と違って行書には崩し方や省略の仕方にある程度きまりがあるため、草書よりも読みやすいです。
また、行書は形を自由に変えることができるので、書きやすい書体として書道教室でも習う人が多いです。

 

楷書(かいしょ)

 

楷書の元も隷書となっており、行書同様に書道教室で習う人が多い書体です。楷書は、現在最も一般的に使用されており、卒業証書などの賞状で使用されています。楷書は草書の書体を崩さず丁寧に書いており、隷書よりも形は整っています。

 

仮名(かな)

 

仮名は漢字から生まれた日本独自の書体で、奈良時代から平安時代に万葉仮名を元にしてできました。万葉仮名とは、漢字が持つ「意味」ではなく「音」の部分を活用したもので、日本語の音声や音色、響きなどの「音韻」を書き表すために使われるようになったものです。ひらがなは、全体的に丸みを帯びているのが特徴です。カタカナの場合は、はねやはらいはほとんどなく、直線的な字画が多いのが特徴です。